1.金属・空気電池計測セル

 金属・空気電池とは、アノード即ち電池でいうと電気の流れ込む極(マイナス極)に活性な金属を、カソード(プラス極)に燃料電池の空気極、即ち空気中の酸素の還元反応を利用した極を配置した発電装置のことで、充電・放電の可能な「2次電池」としての性能を有するものもあります。例えば補聴器に使用されるボタン電池は「亜鉛・空気電池」であり、また近年注目されているものとして「リチウム・空気電池」があります。そのほかにも「エジソン電池」として知られる「鉄・空気電池」も研究されています。

 金属・空気電池はカソード側において酸素還元反応を連続的に行わせることができるため、アノードに繰り返し酸化還元できる金属を用いることで、安全、軽量、繰り返し使用可能なエネルギー密度の高い電気を構成できるという点に特長があります。
1. 高エネルギー密度(理論的に、アノード金属1g当たり数Wh)。
2. 放電時電圧(理論値1.5~3V)がフラットである。
3. 不使用状態(保管時)におけるロング・ライフ。
4. 環境に優しい。
5. 低価格。

 下表にアノードとして用いることが可能な、いくつかの金属の例をしまします("Handbook of Batteries 3rd Edition", D. Linden, T. B. Reddy, Eds.McGraw-Hill, N.Y. 2002より引用)。電解質(アノードとカソードを分ける隔壁で、イオンが流れるための電気伝導度が高い必要がある)に有機物を用いるか水溶液系を用いるかで電池の種類が分かれますが、価格、安全性を考えると水溶液系のほうが有利と考えられます。

金属 金属1g当たりの電気量 Ah/g 理論電圧 V 金属1g当たりのエネルギー密度 Wh/g 実用上の電圧
Li 3.86 3.4 13 2.4
Ca 1.34 3.4 4.6 2.0
Mg 2.20 3.1 6.8 1.2~1.4
Al 2.98 2.7 8.1 1.1~1.4
Zn 0.82 1.6 1.3 1.0~1.2
Fe 0.96 1.3 1.2 1.0

 金属・空気電池計測用の電気化学セルとして、主として水溶液系(親水性フィルムも含む)電解質を用いる研究を想定しデザインされたのがテフロン製金属・空気電池計測丸型セルです。下図にはひとつの構成例を示します。
 スクリュー締め付け式で、試験片の着脱が容易になっており、ポテンショスタットなどで計測できます。

 

価格表

品 名 内 容 価格(円) 備 考
テフロン樹脂製小型セル 本体(フタ及び容器)、空気極メッシュ 34,000 50mmφ, 長さ40mm(組み立て前)
仕切り板 円形43mmφ、本体内空気極に挿入 2,500 開口部11~22mmφ(1.0~4.0cm2)、厚さ2mm, 3mm(ユーザー指定可能)
アニオン交換膜 OH-伝導膜 2,100 厚さ約0.05mm