2. 燃料電池アノード及びカソード触媒

 つくば燃料電池研究所では、低温型燃料電池に適用可能な非白金系触媒の開発を行っています。これまで10年以上にわたって培った複合触媒設計のノウハウをさらに発展させ、新たな分子触媒の開発のみならず、化合物触媒の設計をも行っています。

 アノード触媒としては世界的にもこれまで研究例は少なく、白金を代替できる材料は見つかっていないのが現状ですが、資源量、コストいろいろな観点から代替材料の発見は必須の課題となっています。一方、携帯機器用の小型燃料電池に対しては、メタノール、ギ酸、エタノールなどいろいろな液体燃料が候補として挙がっており、それらに対応してCO被毒耐性のある触媒を見出す必要があります。

 カソード触媒としては、世界的にも研究例が多く提案された材料も非常に多種ですが、まだ決定的な材料と呼べるものは稀です。

 つくば燃料電池研究所は、分子触媒設計の観点から様々な検討を行っており、その成果として新規触媒の提案と開発を通して燃料電池産業のお役にたてることを重要な使命としています。

: T. Okada and M. Kaneko eds. "Molecular Catalysts for Energy Conversion", Springer Series in Material Science 111, Springer-Verlag, Heidelberg (2009).